もう12月も半ばですが、11月といえば「酉の市」。
一と二の酉は予定があって泣く泣くやり過ごし、
あって良かった三の酉。
行けてよかった酉の市。
毎年恒例となってくると「酉の日、逃してなるものか!」と、
もはや何かに取り憑かれたようになりがちですね。
毎年決まった神社に行きますが、行きつけの神社は、
いわゆる目黒の「大鳥神社」や、新宿の「花園神社」のような華やかな賑わいとは少し違う、
地元に住む方が家族で代々通っているような、どこか懐かしい賑わいのある小さな小さな神社です。
いつものようにご家族で商いをしている露天でおかめさん付きの縁起熊手を購入し、
手締めをしていただき、さて次は社務所で熊手御守を買おうと列に並んだところ、
前に並んでいたお爺さんが山と積まれた熊手をひとつひとつくまなく確認しながら、
ものすごく悩んでいらっしゃる。
傍から見るとどれもこれもほとんど差異のない熊手御守だけれど、
恐らく手作りだろうから若干の違いがあって、
そう言えば私も一昨年購入した熊手御守の稲穂の斜め具合がなぜかとても気になって、
結局1年間気になり続けたことを考えると「お爺さん、分かるよその気持ち。」と
その丸く小さな背中に後方から深い共感の念を送っていたのでした。
散々悩み倒してやっとベストバランスを見つけたのか、
ほくほくと社務所を後にしたお爺さんを見送り、
こんなに混み混みの中で他の人の目など気にすることなく、
自分的お気に入りを選びぬいたお爺さんの、その精神に強く感銘を受け、
よし私も今年は選ぶ!とことん選ぶんだ!
と意気込んで売り子のお姉さんと向き合ったところ、
満面の笑みで熊手山の一番てっぺんにあったひとつを手渡されてしまい、
あっさりとそちらを購入。
選ぶ余地なし!
こんな状況下であれだけ選び倒したお爺さんへの尊敬がより強まった秋の夕刻でした。
お爺さん、そのこだわり大事だと思うよ。これからも元気で長生きしてね。
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